ビル・ウィリアムスの指標【第一弾】
今回はMT4標準装備のインディケータのうち、特別扱いされているビル・ウィリアムスのテクニカル指標から取り上げます。
ビル・ウィリアムスって何者?
MT4でテクニカル指標をチャート上に表示しようとした時に、誰もが感じる違和感に「ビル・ウィリアムス」という指標群があるのではないでしょうか。その他の分類が、トレンド、オシレータ、ボリュームとあるのに、その次がビル・ウィリアムスです。特別扱いすぎるというか、何故あまりメジャーではないテクニカル指標群があるのか、どうやって使うのか、そんな方のために今日はビル・ウィリアムス特集です。
ビル・ウィリアムスは、テクニカル指標のオタクなら知っておくべき新しいテクニカル指標群の開発に寄与した一人です。著名なテクニカル指標でも一人が開発したものは結構あり、古典的なテクニカル指標群開発者として有名なのはワイルダーです。ワイルダーの著書「ワイルダーのテクニカル分析入門」(原題は、テクニカルトレードの新しいコンセプト。1978年の著作)には、パラボリック、トゥルーレンジ、ディレクショナルムーブメント、モメンタム、RSI、ピボット、CSIとかなり多くの指標が掲載されています。RSI以外にもワイルダーによる指標は有名なものばかりです。
そして、ワイルダーが古典派だとすれば、ウィリアムスであるとかシャンデあたりはモダン派と言われるテクニカル指標開発者です。モダン派という言葉が古く感じられるようにウィリアムスがMT4に搭載されている指標群を「トレーディング・カオス」という本で紹介したのは1998年、すでに20年経過しています。この書籍は改訂版が2004年に出ていますが、初版は邦訳「相場の達人」(なぜ変えた?)として出ていますので、深く知りたい方は古本を入手しておくとよいでしょう。
フラクタル
ビル・ウィリアムスの指標でもっとも有名かつ使われているのは「フラクタル」かもしれません。フラクタルはいわゆる「スイングHLポイント」や「HIP&LOP」と同じで、違うのは両側のバーの本数のみです。
高値の両側に低い高値2本を従えているのがUPフラクタル、安値の両側に高い安値2本を従えているのがDOWNフラクタルです。目立った高値や安値を判断する際に単独でも使いやすい指標です。なお、フラクタルについては過去のブログ「チャート機能を使い倒すコツ」において、トレンドラインの引き方と併せて紹介していますのでそちらをご覧ください。
アリゲータ
今回は「アリゲータ」を見てみましょう。
上のチャートはドル円1時間足にアリゲータを表示したものです。
アリゲータは名前の通りワニで、3本の線が以下のように定義されています。
緑=短期線 Lips (唇) 5 期間平滑移動平均を3本先行
赤=中期線 Teeth (牙) 8期間平滑移動平均を5本先行
青=長期線 Jaws (顎) 13期間平滑移動平均を8本先行
この平滑移動平均は、MT4にもある移動平均の種別でSmoothedとして入っている、指数平滑平均(EMA)と同じ考え方による計算法です。また移動平均の計算は終値ではなく、高値と安値の平均であるMedian Priceを使っています。これもMT4の移動平均では適用価格で見たことがあるのではないでしょうか。いずれにしても、3本の先行移動平均線を使っているという点では今ではディナポリのDMA(ずらした移動平均)の方が有名かもしれません。
次に、このアリゲータの簡単な見方ですが以下のようになります。
・3本の線が収束状態から拡散を始めた時に順張りでトレンドに乗る
・フラクタルと併用するのが基本
これだけではピンと来ないので先ほどのドル円チャートをもう一度出してみます。肥大半分を拡大してフラクタルも表示します。
収束から拡散の場所をラインマーカーで示しました。つまり順張りトレンドに乗るためには「買い」ですね。その場合に買いの状態が続いていること=上昇トレンドでは、ローソク足が真ん中の赤のライン(Teeth)を上回っている必要があります。ピンクで囲ったフラクタルの位置は、ギリギリその状態を保っていると言えるでしょう。
実用上の問題点ですが、原著にはこういう状態で買う、売るといった実例が色々と示されているのですが、個人的にはややわかりにくい上に、そうではないケースなどもあり、ピンポイントで売買のタイミングを示すと必ずしもあてはまらないという印象です。
ウィリアムスが原著で示した方法論とは異なりますが、シンプルに3本の線の順序が整ったらトレンド、そうでない場合はもみあいと判断する方が初心者には使い勝手はよいかもしれません。そこで、怒られそうですが以下のように考えてみてください。
・上昇(買い)= 緑 > 赤 > 青 の順番が揃った状態
・下降(売り)= 緑 < 赤 < 青 の順番が揃った状態
・それ以外は、もみあい
他のウィリアムスの指標にも面白い考え方や、一般的な考え方であるもののあまり注目されていないといった指標の読み方がありますので、また別に機会に取り上げてみることとしましょう。
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