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MT4におけるMTF指標の仕組み【第二弾】

 

今回は3月20日の記事で扱った「MT4におけるMTF指標の仕組み」の続編となります。

KSTのMTF

MT4で一般にMTFと言えば「他の時間枠のテクニカル指標を表示」するものを指します。例えば1時間足チャートの上に日足の移動平均線をステップ(階段状)で表示するようなスタイルです。

前回の記事では、MTFの他の考え方として「計算の中に複数の時間を取り込むテクニカル指標」もあり、代表的な物のKSTという指標があることのみを示しました。7月のトレードパーティーだったでしょうか、KSTについて知りたいというリスナーの方がいらっしゃいましたので、次回の放送向けも兼ねて、今回はKSTを題材に計算の中に複数の時間を取り込むMTFのテクニカル指標について紹介します。

MT4のMomentumはROC

KSTの前にKSTのベースとなっているROCについて簡単に触れておきます。ROC(Rate Of Change)とモメンタムは兄弟のような指標で、n本前の終値と現在の終値を比較するという単純なテクニカル指標ですが、ROCが変化率(%)で比較するのに対して、モメンタムは価格差(pips)を比較します。

値幅のモメンタムよりも変化率のROCのほうが使い勝手は良いと思いますが、どちらも現在が上昇していれば+圏、加工していれば-圏となり、その値が+から-へ、あるいは-から+へと変化するゼロラインとの位置関係を見ることが一般的です。

気をつけなくてはいけないのは、MT4ではROCのことをMomentum(モメンタム)と呼んでいることです。指標の見方自体に違いはありませんが、横の軸を見るとゼロラインが100%、マイナス圏が97%等と表示されていることがわかります。以下の例はMT4のMomentum(実はROC)をドル円日足に9期間で表示したものです。



+圏(100以上)にある時は上昇傾向、-圏(100以下)にある時は下降傾向、そしてゼロライン(=100%)を横切っている時にトレンドの変化が表れていると言えるでしょう。

KSTの計算

モメンタムやROCは多くのテクニカル指標にパーツとして組み込まれていますが、KSTはこのROCにMTFの考え方を導入した指標です。

KSTで使われるROCは、一般的に9, 12, 18, 24期間の4つのROCを使います。しかし、4つのROCをそのまま表示するのではなく、以下のような計算でもってROCを計算しKSTとしています。

まず、それぞれ4つのROCを計算した上で、そのROCの加重平均を求めます。
 9期間×1、12期間×2、18期間×3、24期間×4
最終的に合計した数字を10で割ることで本来のROCに近い値(=初期値)とします。

さらに、この初期値の移動平均(通常もっとも短期の値、この場合9期間)を計算して上げることでKSTの値を得ることが出来ます。

KSTの入手

ちなみに、このKSTですが探してもなかなか無いと思いますが、公式のMQLフォーラムの以下のスレッドで公開されていますので、こちらからmq4ファイル(kstdt.mq4)を入手の上、お使いください。
https://www.mql5.com/en/forum/141699

さて、入手してコンパイルしてチャート上に表示するところまでは良いのですが、どうもイメージしたものと違うものが出てきます。そもそも何でラインが3本あるのという感じですが、以下のようにパラメータを思い切り変えてください。


さあ、これでOKです。先ほどのドル円日足にKSTを表示します。

KSTを表示


KSTの見方としては、このラインの傾きの変化です。ラインが上昇から下降が売り、加工から上昇が買いです。直近の値動きとKSTの傾きの変化は割とフィットしていることがわかります。

KSTのような考え方のMTFは、他のオシレータ系指標にも応用が可能でラリー・ウィリアムズ氏も自身のオリジナル指標の中で使っています。ソースコードがいじれる方は、オリジナルの指標の開発をしてみるのも面白いのではないでしょうか。

ちなみに、KSTですが”Know Sure Thing”の頭文字です。

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