ギャンラインとギャンファン
前回のサブチャートを上部に表示する「テンプレートの改造」は、ラジオ日経のトレードパーティーでもテーマとして扱いましたが、思いのほか引きが良かったことに驚きました。皆さん、こういうマニアックな情報に興味があるのでしょうか。
おそらくMT4ユーザーという時点である程度はPCのこともわかっているとは思いますが、本来のファイルを書き換えることで動作がおかしくなることも起こり得ます。そうした場合に、対処できる方を対象としたテクニックであることはご理解ください。最悪、MT4のアンインストールと再インストールをすればいいとはいうものの、なるべく遭遇したくない事態ではあります。
さて、本日は一般的なテーマに戻りましょう。MT4デフォルトの描画ツールであるギャン関連のツールから「ギャンファン」の使い方を紹介します。
ギャンラインとギャンファン
MT4の描画系ツールのメニュー(挿入)には、「ギャン」というカテゴリがあり、その中にはギャンライン、ギャンファン、ギャングリッドの3つがあります。ギャンは時間と価格の均衡を考えるために重要な1本のライン(ギャンライン)を引き、そのラインの上下にそれぞれ4本ずつのライン(ギャンファン)を引いて、時間経過とともに変化するサポートライン、レジスタンスラインとして利用しました。
また、時間と価格の均衡は「時間=価格」という考え方から来ていて、ギャンラインは縦軸と横軸が均衡する45度ラインをベースとしています。正方形の対角線を考えていただくとわかりやすいでしょう。次の図をご覧ください。
1辺が8マスの正方形です。ここでは上昇トレンドを想定して、ギャンラインは右上がりの45度線(赤の太線)です。このラインは「1×1」(ワン・バイ・ワン)と呼ばれ、時間経過と価格上昇とが均衡する最重要ラインです。
そしてギャンラインの下側にある赤の細線は「2×1」(トゥー・バイ・ワン)と呼ばれる時間経過(横軸)2に対して価格(縦軸)が1上昇するライン、上側にある赤の細線は「1×2」(ワン・バイ・トゥー)と呼ばれる時間経過1に対して価格が2上昇するラインです。「時間経過×価格上昇」で表示します。
これら2つのラインはギャンファンの中でも重要なラインで、それぞれ時間経過に対して価格上昇が緩やかな時と急な時に参考にするラインとなります。これらを含めて9本のラインで構成されるライン群がギャンファンとなります。以下の各線の名称と角度を記しておきます。念の為、色を合わせておきます)
1 x 8 (82.5度)
1 x 4 (75度)
1 x 3 (71.25度)
1 x 2 (63.75度)
1 x 1 (45度)
2 x 1 (26.25度)
3 x 1 (18.75度)
4 x 1 (15度)
8 x 1 (7.5度)
そして、下降ラインでは以下のようなイメージとなります。
さて、皆さんもお気づきだと思いますが、MT4のチャート画面でズームイン(+)、ズームアウト(-)を使うとそもそも角度という概念が意味なくなりますし、上下の価格の軸にしても基本的に自動調整されますので何をもって45度と考えるのかというのが、一番の問題点となります。これについては難しく考えず以下のようにしてみてください。
ギャンファンの例
次のドル円日足チャートをご覧ください。ギャンファンを引いてあります。
ここでは、年初来安値を起点にその後の最高値となった5月高値に向けてギャンラインを引いてあることがわかります。他の考え方もあるのですが、今回は「重要な安値から重要な高値へとギャンラインを引く」ことでギャンファンを表示させるという考え方を取ります。日足チャートとでは「2×1」のラインがサポートとして効いてくるであろうことがわかりますね。
もうひとつ例をあげます。こちらは下降の例で4時間足を使いました。
現在に至るまで5月の高値も安値も抜けていませんので、このチャートでは5月高値から5月安値に向けてギャンラインを引いてあります。そして6月に入ってからの高値圏は「8×1」のレジスタンスラインで上値を抑えられていることがわかります。
MT4のギャンファンは、ギャンラインを合わせるのにやや癖がありますが、トレンドラインや平行チャンネルと同じイメージなので、あとは皆さん自身で試してみてください。
◆本稿は筆者の個人的見解に基づき、執筆されたものです。あくまでも個人ユーザー向けのコラムとして提供された参考記事であり、FXTFの見解、分析ではございません。