相場と数
相場と数という曖昧なタイトルではありますが、円相場ひとつ取っても、今年最初の111.11というゾロ目のレートではある程度まとまった売りが出たはずです。これは、初物とゾロ目であるという点がトレーダーに売っておこうという気にさせる理由です。実際にこうした数字にまつわるテーマは相場とは切り離せないものと言えるでしょう。
数学的な話となると、金融計算では平方根(√)、対数(log)といった要素は各所で見られます。オプションの計算式で有名なブラック・ショールズ式の基本であるヨーロピアン・コールのオプション価格を求める式には√もlogも含まれています。こうした要素も意外と気付かずに使っていたりするものです。
今回はMT4で扱う数字として「比」を取り上げ、それをMT4上で実践する方法を改めてまとめておきたいと思います。
フィボナッチ・リトレースメント
値幅観測において最も使われているツールだと思われますが、フィボナッチ・リトレースメントを初期状態で表示すると以下のような表示(色のみ青に変更)です。
これでも良いのですが、別の比を加えたい、その水準のレートを具体的に知りたいという場合にはプロパティを開いて変更します。
上記の例では、78.6%と127.2%を追加し、すべての説明の横に” %$”(スペース+パーセント+ドル)を付記しています。この状態で表示してみましょう。
表示範囲内では78.6%が追加され、それぞれの水準の横にレートが表示されて見やすくなりました。
0.786というのは0.618の平方根、1.272というのは1.618の平方根です。ここでは平方根が登場しましたが、フィボナッチ比にはもともと平方根が内包されています。一例として、2.618の平方根を計算すると1.618となります。そこで、1.618の平方根といった考え方が出てきますが、0.618の平方根である0.786は結構重要で、61.8%戻しを抜けてきた場合のターゲットとして78.6%戻しはよく効くものです。
現在のドル円では昨年高値と年初来安値の78.6%戻しが112.466となっていて、現在のドル円の高値として考えられる水準となっています。
黄金分割比と貴金属比
黄金分割比(黄金比)というのは0.618、1.618といった数字で示され、フィボナッチ数列間の比率として、また建築や美術において美しいと感じる比率というあたりは皆さんもご存じの通りです。
この黄金比は、1.618-0.618=1と逆数との差が1となっていることも見ればわかりますが、このような比を持つ数字を数学では貴金属比と呼び、黄金比はその貴金属比の1番目の比率、第1貴金属数でもあります。では、2番目はというと白銀比という比があります。これは、2.414と0.414でその差が2です。同様に差が3となる比を青銅比と呼び、3.303-0.303=3とその差が整数で示されます。
そして、どの貴金属比も以下の式で示されます。
(-n+√n2+4)/2
これらの比率が相場で使えるかどうかは、これまで検証している市場参加者が少ないため、何とも言えないのですが、黄金比が比率的な美しさから相場においても使われている面があり、そうであるとするならば貴金属比の中でも白銀費比は使える可能性があります。
もともと白銀比は日本人がバランス的に美しいと感じる比でもあります。我々が普段使う用紙にもっとも使われるA4をはじめ、各種A判とB判がありますが、この規格こそが白銀長方形と呼ばれる白銀比(1:1+√2)です。古くは法隆寺の建築等にも白銀比が見られることから大和比とも呼ばれますが、デザインの分野では現在でも多くのものに利用され、Googleのロゴも白銀比です。
そうであるとすれば、0.414とか2.414といった比率をフィボナッチ・リトレースメントやフィボナッチ・エクスパンションに使うことも悪くないのではと思えます。フィボナッチ・リトレースメントに白銀比の0.414を追加して他と区別するにはプロパティを以下のようにすればよいですね。コメントを付けておけば、後から何だったかもわかります。
ただ、実際に使ってみると0.414は0.382にかなり近いですし、2.414も2.618に近いため、よほどピタリというレートでも無い限り、効いているのかどうかは確認しにくいというのが個人的な感覚です。おそらく、ほとんどの場合0.382に近いという感じになってしまうのでしょうが、発想を変えて0.382を0.414に置き換えるということもありだとは思います。
それ以外の比率
他の比率として貴金属比ではありませんが、比較的有名な比率に白金比というものがあり、こちらは1:1.732となっていて、1.618にかなり近い数字です。フィボナッチ比だけで考えた方が楽ですし説明しやすいとは思いますが、世の中には色々な比率が存在します。何か、面白いかもしれないと思ったらMT4のよいところは柔軟性の高さです。
比率に限らずパラメータにおいても何の数字を使うのか、相場に関わっている限り数との付き合いは続きますが、思いついたらすぐに試してみる、これを繰り返しているうちに大発見があるかもしれません。
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