ストキャスティクスRSIとは
テクニカル指標の計算における考え方として、移動平均線のように「均す」という考え方は非常に重要なものであることは、これまでにも何度も書いてきましたが、もう一つ優れた考え方に「期間内の位置を知る」という考え方があります。これはストキャスティクスに代表される考え方なので、今回はストキャスティクスの構造から見ていきましょう。
ストキャスティクス
ストキャスティクスはレイン氏が考案したテクニカル指標で、「一定期間の最高値と最安値を基準に終値がどの位置にあるかを数値化」したものと言えます。レイン氏オリジナルの計算ではこの最高値と最安値は終値における最高値と最安値を使っていますが、MT4のストキャス
ティクスでは終値を使う方法(Close / Close)と実際の最高値と最安値(High / Low)を使う方法の2つを選ぶことが出来るようになっています。
傾向としては、下のチャートを見るとわかる通り、終値における最高値と最安値を使った方(下段)が、実際の最高値と最安値を使う(中段)よりも変化が急激になりやすいということが言えます。
さて、ストキャスティクスの計算に話を戻しますが、どちらの値を使った場合でも計算式は以下のようになります。
%K={(終値-最安値)/(最高値-最安値)}×100
%Dは%Kの平均ですし、Slow%Dは更にその平均(ここでも平均の平均という概念が使われていますね)ですから、ここでは考えずに上の%Kをご覧ください。
終値から最安値を引くことで、現在値(終値)の最安値からの値幅を知ることが出来、最高値から最安値を引くことで一定期間の最大値幅を知ることができます。さらにそれを割ることで0~1の間の数値として現在値を捉えることが出来るわけです。(最後の100倍は単に%表示のため)
この概念は、その後の多くのテクニカル指標の計算に影響を与え%から始まる派生指標が数多く誕生したことは以前もお話ししました。さて、この%Kではあくまでもレートを使っていますが、そもそもレイン氏がストキャスティクスを開発する原点にはRSIよりも使い勝手が良いオシレータ系指標を作ろうという考えがあったはずです。
ストキャスティックRSI
そこで、また新たな考え方が出てきますが、終値や高値・安値ではなくRSIという相場の強弱を示すテクニカル指標をストキャスティクスの計算に用いたらどうだろうと考えた人がいてもおかしくはありません。これを考えたのは、シャンデ博士です。シャンデ博士は今となっては古典に含まれるのでしょうが、当時1990年代前半を中心に多くのテクニカル指標を開発しました。アルーンが一番有名だと思いますが、どれもややマニアックであまり一般的ではありません。
ストキャスティックRSIのような指標を組み合わせる指標も多く、通常 ”Indicator of an Indicator”( テクニカル指標のテクニカル指標)と呼ばれます。MACDはEMAの差とその平均ですから無意識に指標の指標を使っているケースでしょうか。このストキャスティックRSIは標準では入っていませんが、検索するとすぐに出てきますので、まずはStochastic RSIとmq4をキーワードに検索して入手してみましょう。
Stochastic RSIを先ほどと同じドル円1時間足に表示してみます。
このストキャスティックRSIでは上下の数値が-1~+1となっていますが、0~100を取るものもあり、どちらかというと0~100のほうがストキャスティクスの計算的には本来の表示方法と言えるでしょう。使い方はストキャスティクスと全く同じで、買われすぎゾーン(通常80、上記チャートでは+0.6)と売られすぎゾーン(通常20、上記チャートでは-0.6)における2本のラインのゴールデンクロス・デッドクロスを見たり、ダイバージェンスを見たりといった具合です。
ストキャスティックRSIは終値ではなく上昇・下降の勢いを使っての現在値を求めていますが、結果的には通常のストキャスティクスと同様の使い方が出来、かつ通常のストキャスティクスよりも見やすくなるという評価が一般的のようです。どちらが良いかは皆さんが試して決められると良いかと思います。
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